名もなき声に耳を澄ます

2025.05.29

News

「歴史学者 ユヴァル・ノア・ハラリさんとの対話 私たちはいかにして他者と信頼を築くことができるか ― よき祖先になるための大切な問い」 対話記録を公開しました

Back to List

「歴史学者 ユヴァル・ノア・ハラリさんとの対話 私たちはいかにして他者と信頼を築くことができるか ― よき祖先になるための大切な問い」 対話記録を公開しました

カンファ・ツリー・ヴィレッジ 渡部るり子

皆さんはユヴァル・ノア・ハラリさんを知っていますか。

世界的な歴史学者であり、『サピエンス全史』などの著作は、65の言語で累計5千万部発行されています。最新作『NEXUS 情報の人類史』は、ベストセラーとして書店に並び、NHKの番組日経などのメディアにも登場されています。2019年には、パートナーであるイツィク・ヤハブさんと共に、ソーシャルインパクトを目的としたSapienship Labという会社を立ち上げ、近未来を教えてくれる教育メディアのハブ(拠点)を築かれています。ハラリさんとチームは、ソーシャルメディアの様々なチャネルを通じて、インスピレーションを与える問い、深い洞察を日々発信されています。

学校法人武蔵野大学100周年記念事業であるカンファ・ツリー・ヴィレッジは、建学の精神であるブッダ・ダルマ(仏法)の根本を踏まえ、現代社会の諸課題の解決に向け、ダルマの意義と貢献の可能性の論究および提言に取り組んでいます。構想当初から、世界の平和と安穏のために寄与するという目的のために、人類の歴史から革新的な洞察を与えて下さるユヴァル・ノア・ハラリさんを、いつかお迎えしたいと願ってきました。

今年3月、その願いがついに実現しました。武蔵野大学客員教授・カンファ・ツリー・ヴィレッジ・統括プロデューサ―である僧侶の松本紹圭さんとの対話を、皆さんにも共有します。
ハラリさんは、まだ大学院生だった頃から、仏教に基づいた瞑想を毎日三時間実践されており、最初の経典に用いられたパーリ語についてもご存じです。ご家族、ご友人と京都・西本願寺を訪問され、対話が行なわれました。(右から3番目:ハラリさん、右から4番目:本願寺副執行長・菅原良成さん、右端:松本さん、左端:筆者)

松本さんから、ハラリさんへ、このような問いが投げかけられました。

皆さんはならどう話し始めるでしょうか。ハラリさんはどう答えて下さったのでしょうか。
まず、この問いについて考えてみて下さい。そして、気になった問いから、お二人の対話を読んでみて下さい。

メディアでのハラリさんは、どんな問いについても明晰に、熱く語られます。実際にお会いしてみると、とても静かで、落ち着いた印象の方でした。なんと小さい頃は人見知りだったそうです。毎日の瞑想も、ご自身にとって大切だから続けられているとのこと、大勢の前で話されることも、そうやって努力を積み重ねられてきたのかしれません。

また、ハラリさんは子ども向けの『人類の物語(Unstoppable US)』という素晴らしいシリーズも出版されています。障がいが進みつつあるお子さんのためにサインをお願いしたところ、Everything Changes. (全てのことは変化する)というメッセージも書いて下さいました。諸行無常という仏教の教えは、希望も与えてくれますね。

後日、将来の教育をテーマとした講演会にもご招待いただきました。印象的だったのは「食べものは気にするのに、(同じようにからだに入れる)情報については殆ど気にしていないのではないか」ということでした。デジタルデトックスという言葉もありますが、ついスマホを見てしまったりする日々の中で、本当に大切なことを考え、行動するために、心に残る言葉でした。

ハラリさんは「また機会を見つけて対話を続けましょう」と言って下さいました。カンファ・ツリー・ヴィレッジも、これまでの対話を総括していく段階に入っています。次回はどんな対話になるのか、とても楽しみです。

対話の全文も公開しております。ぜひお読みください。

<対話の全文はこちらからお読みください。>
<Read the full transcript in English here.>

ユヴァル・ノア・ハラリ氏 ご略歴

歴史学者、哲学者。1976年生まれ。オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して2002年に博士号を取得。著書『サピエンス全史』『ホモ・デウス』『21 Lessons』(以上、河出書房新社刊)は世界的なベストセラーになっている。2020年のダボス会議での基調講演など、世界中の聴衆に向けて講義や講演も行う。

NEXUS(ネクサス)ユヴァル・ノア・ハラリ 特設サイト| 河出書房新社)より)